概要
最新のデータによると、アクティブファンドのパフォーマンスは依然として厳しい状況にあります。特に2025年上半期のような市場変動の激しい局面においても、多くのアクティブファンドはインデックスファンドを上回ることができませんでした。Morningstarの調査では、2025年6月までの1年間で、対象となったアクティブファンドのうち、生き残り、かつパッシブファンドの平均を上回ったのはわずか33%でした。この傾向は長期になるほど顕著になり、10年間のスパンで見ると、アクティブファンドの成功率は約20%にまで低下します。
しかし、市場や資産クラスによっては異なる様相も見られます。例えば、債券や不動産といった分野では、アクティブ運用が比較的優位性を保っているケースがあります。また、日本市場においては、アクティブファンドがインデックスを上回る割合が他国市場に比べて高いという特異な状況が見られます。これは、ベンチマークとして多用されるTOPIXなどのインデックス自体の構成に課題があり、アクティブマネージャーが超過リターンを生み出しやすい土壌があるためと指摘されています。
投資家の資金は、依然としてアクティブファンドからインデックスファンドへと流出する傾向が続いています。2025年7月のデータでは、アクティブファンド全体で66.1億ドルの純流出となった一方、同月のインデックスファンドは大幅な純流出を記録しましたが、これは主に国内株式からの大規模な資金流出によるもので、6月までは純流入が続いていました。
結論として、大多数のアクティブファンドは手数料の壁を越えてインデックスを上回ることが困難であるという事実は変わりません。しかし、一部には継続的に優れた実績を上げるファンドも存在するため、投資家はデータを精査し、コストを十分に考慮した上で、慎重にファンドを選別する必要があります。
詳細レポート
アクティブ vs. パッシブ:最新パフォーマンス比較
2025年に入っても、アクティブファンドがインデックスファンド(パッシブファンド)に対して苦戦を強いられる状況が続いています。市場の専門家がベンチマークを上回るリターンを目指すアクティブ運用は、その高い手数料に見合う成果を出すことが大きな課題となっています。
S&P Dow Jones IndicesのSPIVA®スコアカード
長年にわたりアクティブ運用とパッシブ運用を比較してきたSPIVA®の最新レポートは、この厳しい現実を浮き彫りにしています。2024年通期の「SPIVA®日本スコアカード」によると、調査対象となったほとんどのカテゴリーで、アクティブファンドの大半がベンチマークをアンダーパフォーム(下回る)しました。
特に、海外株式に投資するファンドの苦戦が目立ちます。
- 米国株式ファンド: 78%がベンチマーク(S&P 500®)をアンダーパフォーム。
- 国際株式ファンド: 88%がベンチマーク(S&P グローバル(除く日本))をアンダーパフォーム。
- 新興国株式ファンド: 91%がベンチマーク(S&P/IFCIコンポジット)をアンダーパフォーム。
この傾向は長期になるほど強まり、例えば米国株式ファンドでは15年間の期間で見ると91%が、グローバル株式ファンドでは100%がベンチマークを下回るという結果になっています。
Morningstarのアクティブ/パッシブ バロメーター
Morningstarの2025年中期レポートも同様の結論を示しています。2025年6月までの1年間で、調査対象となった約3,200本のアクティブファンドのうち、生き残ってかつ平均的なパッシブの競合ファンドを上回ったのはわずか33%でした。

市場のボラティリティが高い局面ではアクティブ運用が有利とされがちですが、データはその通説を裏付けていません。長期的な視点ではさらに厳しく、10年間の期間ではアクティブファンドの成功率は約21%にまで低下します。
資産クラス別の動向と日本市場の特殊性
アクティブファンドのパフォーマンスは、投資対象とする資産クラスによって大きく異なります。
資産クラス別の成功率
Morningstarの分析によると、米国大型株ファンドの長期的な成功率は特に低く、超過リターンを狙うには厳しい市場であることが示されています。下のグラフは、米国の大型ブレンド株ファンドの10年間の超過リターンの分布を示しており、マイナス側に大きく歪んでいることがわかります。これは、負け組ファンドを選んだ場合の損失が大きいことを意味します。

一方で、債券ファンドや不動産ファンドの分野では、アクティブ運用が比較的健闘しています。特に不動産アクティブファンドは、1年間の成功率が66%に達するなど、良好な結果を示しています。
日本市場の特異な構造
日本の株式市場では、アクティブファンドが比較的善戦しているという特徴があります。SPIVAのデータでも、日本の大型株ファンドのアンダーパフォーム率は62%、中小型株では57%と、海外株式カテゴリーに比べて低い水準にあります。
この背景には、ベンチマーク自体の問題が指摘されています。日本の株式市場で広く用いられるTOPIX(東証株価指数)は、かつて東証一部の全銘柄を対象としていたため、業績不振の企業も多く含まれていました。このような「質の低い」銘柄を含むインデックスに対しては、銘柄選別を行うアクティブファンドが超過リターン(アルファ)を生み出しやすい構造になっていたのです。
金融庁が2022年に公表したレポートによると、手数料控除前の段階で、統計的に有意なプラスのアルファを生み出していた国内株式アクティブファンドは、444本中わずか35本(約8%)でした。一方で、海外株式(特に米国株)を対象とするファンドで有意なプラスのアルファを達成したものは0本という結果でした。

この事実は、日本株アクティブファンドの好成績の一部が、運用能力の高さだけでなく、ベンチマークの「甘さ」に起因している可能性を示唆しています。
コストの壁と投資家の資金動向
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない最大の理由の一つがコストです。ファンドマネージャーやアナリストの人件費、調査費用などが信託報酬に上乗せされるため、インデックスファンドに比べて手数料が高くなる傾向があります。
コストがパフォーマンスを左右する
Morningstarの分析では、手数料が最も安いグループのアクティブファンドの10年間の成功率が27%であったのに対し、最も高いグループでは15%に留まりました。手数料控除後のリターンで評価すると、多くのアクティブファンドは実質的にインデックスを下回ってしまいます。
例えば、「日本株アクティブファンド(実績報酬型)」は、実質信託報酬が0.253%と分類平均の0.954%より低いものの、購入時手数料は3.3%と平均より高くなっています。このように、トータルでかかるコストを精査することが重要です。
投資家の資金フロー
こうした状況を反映し、投資家の資金は長期的にアクティブファンドからインデックスファンドへとシフトしています。米国のInvestment Company Institute (ICI)のデータによると、2025年7月には、長期のアクティブファンドから66.1億ドルの資金が流出しました。
2025年7月 米国ミューチュアルファンド・ETFの資産総額と資金フロー
| 資産クラス | アクティブ(資産総額) | インデックス(資産総額) | インデックス比率 | アクティブ(資金フロー) | インデックス(資金フロー) |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内株式 | $7,657.1 B | $12,250.2 B | 61.5% | -$40,907 M | -$258,558 M |
| 国際株式 | $2,718.6 B | $2,502.5 B | 47.9% | -$2,508 M | +$16,308 M |
| 債券 | $4,545.4 B | $2,705.4 B | 37.3% | +$39,866 M | +$24,102 M |
| 合計 | $16,550.8 B | $17,543.3 B | 51.5% | -$6,610 M | -$218,375 M |
| 出所: Investment Company Institute (ICI) 2025年8月29日発表データ |
2025年7月にはインデックスファンドからも大幅な資金流出が見られましたが、これは主に国内株式からのものであり、6月までは599.8億ドルの純流入でした。一方で、アクティブ債券ファンドには398.7億ドルの純流入があり、資産クラスによって資金の流れが異なることも示されています。
勝てるアクティブファンドは存在するのか?
大多数のアクティブファンドがインデックスに勝てない一方で、一部には継続して優れたパフォーマンスを示すファンドも存在します。重要なのは、そうした「本当に勝てる」ファンドを見極めることです。
SBI証券は、独自の基準でインデックスを上回った勝率の高いアクティブファンドをランキング形式で紹介しています。このランキングでは、主要なインデックス(NASDAQ総合、S&P500など)の中で最もパフォーマンスが良かったものを基準とし、それを上回った月数の割合を「勝率」として算出しています。
SBI証券「インデックス+αランキング」(2025年7月末時点)
【1年間】 (対NASDAQ総合指数: 21%)
| 順位 | ファンド名 | 勝率 | 直近1年リターン |
|---|---|---|---|
| 1 | グローバル・フィンテック株式ファンド | 100% | 83% |
| 2 | グローバル・フィンテック株式ファンド(年2回決算型) | 100% | 82% |
| 3 | WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型) | 100% | 66% |
| 出所: SBI証券、ウエルスアドバイザー社、Bloombergのデータを基に作成 |
【3年間】 (対NASDAQ総合指数: 25%)
| 順位 | ファンド名 | 勝率 | 直近3年リターン(年率) |
|---|---|---|---|
| 1 | 野村 世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資) | 100% | 49% |
| 2 | 米国エネルギー革命関連ファンド(年1回決算型) | 97% | 24% |
| 3 | 米国エネルギー革命関連ファンドBコース | 94% | 24% |
| 出所: SBI証券、ウエルスアドバイザー社、Bloombergのデータを基に作成 |
これらのファンドは、フィンテックや半導体といった特定のテーマに集中投資することで、市場平均を大幅に上回るリターンを達成しています。しかし、こうしたテーマ型ファンドは市場の流行に左右されやすく、高いリスクを伴うことも理解しておく必要があります。過去の実績が将来の成果を保証するものではないため、投資判断は慎重に行うべきです。
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