概要

ソフトバンク株式会社は、2026年3月期第1四半期において、売上高が過去最高を更新する一方で、利益面では前年同期比で減少を記録しました。売上高は全報告セグメントでの増収に支えられ1兆6,586億円(前年同期比8.0%増)に達しましたが、営業利益は2,907億円(同4.3%減)、最終利益は1,453億円(同10.6%減)となりました。

一方、前期にあたる2025年3月期通期決算では、売上高6兆5,443億円(前期比7.6%増)、営業利益9,890億円(同12.9%増)と、2期連続の増収および増益を達成しており、好調な業績を記録しています。特にファイナンス事業が黒字転換するなど、全セグメントで増収増益を達成したことが通期業績を牽引しました。

同社は通信事業者の枠を超える「Beyond Carrier」戦略を掲げ、AI計算基盤やデータセンターへの投資を積極的に進めており、これらが今後の成長の鍵となります。2026年3月期の通期業績予想については、引き続き増収増益を見込んでいます。

詳細レポート

連結業績ハイライト

ソフトバンク株式会社の直近の業績は、短期的な利益の減少と、中長期的な成長基盤の構築が同時に進んでいる状況を示しています。

2026年3月期 第1四半期(2025年4月~6月)連結業績

2026年3月期第1四半期の連結決算は、増収減益となりました。売上高は過去最高を更新したものの、営業利益率は前年同期の19.8%から17.5%へと低下しています。最終利益は前年同期比で10.6%減少しましたが、通期計画5,400億円に対する進捗率は26.9%と、5年平均の29.0%とほぼ同水準で推移しています。

項目2026年3月期 第1四半期 実績前年同期比
売上高1兆6,586億円+8.0%
営業利益2,907億円-4.3%
経常利益--1.0%
最終利益1,453億円-10.6%

*出典: *

2025年3月期 通期(2024年4月~2025年3月)連結業績

前期にあたる2025年3月期は、2期連続の増収に加え、営業利益も増益に転じ、好調な結果となりました。全報告セグメントで増収を達成し、特にファイナンス事業の黒字化が全体の利益を押し上げました。

項目2025年3月期 通期実績前期比
売上高6兆5,443億円+7.6%
営業利益9,890億円+12.9%
親会社の所有者に帰属する純利益5,261億円+7.6%

*出典: *

セグメント別業績分析(2025年3月期通期)

2025年3月期の好調な業績は、全セグメントにおける成長によってもたらされました。

セグメント別業績

コンシューマ事業
売上高は前期比4.6%増の2兆9,529億円、セグメント利益は同7.1%増の5,304億円でした。スマートフォンの契約数が「ワイモバイル」ブランドを中心に伸長したことや、2023年10月に導入した新料金プランが浸透したことが増収に貢献しました。

エンタープライズ事業
売上高は前期比10.6%増の9,224億円、セグメント利益は同2.1%増の1,703億円となりました。企業のデジタル化需要を背景に、クラウドサービスやセキュリティソリューションなどの売上が増加したことが主な要因です。

ディストリビューション事業
売上高は前期比37.6%増の8,895億円と大幅な伸びを記録し、セグメント利益は同16.0%増の304億円でした。法人向けICT関連商材やSaaSなどの継続収入商材が堅調に推移したほか、NVIDIAから仕入れたAI計算基盤をソフトバンク株式会社本体へ売却したセグメント間取引が売上を大きく押し上げました。

メディア・EC事業
売上高は前期比4.0%増の1兆6,781億円、セグメント利益は同35.0%増の2,673億円と大幅な増益を達成しました。アカウント広告の増収に加え、ZOZOグループやアスクルグループの取扱高が増加したことが寄与しました。

ファイナンス事業
売上高は前期比19.1%増の2,773億円、セグメント利益は332億円となり、黒字化を達成しました。これはPayPayおよびPayPayカードが展開するQRコード決済やクレジットカードの決済取扱高が大幅に増加したことによるものです。

成長戦略と今後の展望

ソフトバンクは、通信キャリアの枠を超えて情報・テクノロジー領域で事業を拡大する「Beyond Carrier」戦略を推進しています。この戦略の中核をなすのがAI分野への注力です。

AI関連への投資
2025年3月期には、シャープ株式会社の堺工場の土地建物を取得し、大規模なAIデータセンターの構築を進めるなど、AI計算基盤への成長投資を加速させています。ディストリビューション事業におけるAI計算基盤の取引も、グループ全体のAI戦略の一環と位置づけられます。こうした先行投資が、将来の収益源として期待されています。

2026年3月期 通期業績予想
同社は、中期経営計画の最終年度となる2026年3月期について、引き続き増収増益を見込んでいます。第1四半期は減益スタートとなりましたが、通期の純利益目標は5,400億円と設定されています。AI関連事業の収益化や、各事業セグメントの継続的な成長を通じて、目標達成を目指す方針です。