最近、Youtubeで久しぶりにTPPという言葉を聞きました。それで思ったのが、そういえば、TPPってどうなったんだろうか、ということ。ということで、AIにまとめてもらいました。

概要

2024年、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)は、英国の正式加盟によりその枠組みを欧州へと拡大し、加盟国は12カ国となりました。これにより、世界の国内総生産(GDP)に占める割合は約15%に達し、人口約5.9億人を擁する巨大経済圏としての重要性を増しています。

現在、コスタリカが加盟交渉を開始しており、インドネシア、中国、台湾など複数の国・地域が加盟を申請しています。2024年11月に開催された第8回CPTPP委員会では、新規加盟手続きのほか、電子商取引やサプライチェーン強靭化といった新たな貿易課題に対応するための協定の総点検(General Review)や、経済的威圧への対処などが議論されました。保護主義的な動きが世界的に見られる中、CPTPPはルールに基づく自由で公正な経済秩序を推進する戦略的枠組みとして、その役割と影響力を高めています。


詳細レポート

英国の正式加盟と12カ国体制への移行

2024年12月15日、英国がCPTPPに正式に加盟し、創設メンバー11カ国(日本、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)に加わる初の新規加盟国となりました。これにより、CPTPPはアジア太平洋地域から欧州へと広がる5大陸にまたがる自由貿易圏となり、加盟国は12カ国に拡大しました。

英国 ベイデノック・ビジネス貿易大臣との会談の様子

英国の加盟議定書は、英国および日本、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルー、マレーシア、ブルネイの8カ国で2024年12月15日に発効し、オーストラリアでは同年12月24日に発効しました。カナダとメキシコは国内の批准手続きを進めています。

英国の加盟により、同国のCPTPP締約国への財輸出の99%以上が無関税となり、長期的には年間約20億ポンドの経済押し上げ効果が見込まれています。日本にとっては、日英包括的経済連携協定(EPA)では対象外だったコメやコメ加工品の関税が撤廃されるなどのメリットがあります。また、加盟12カ国のうち7カ国(英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、マレーシア)が英連邦加盟国であることから、より広範な連携強化も期待されています。

CPTPP加盟国(2024年12月時点)

地域国名
アジア太平洋日本、オーストラリア、ブルネイ、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、ベトナム
北米カナダ、メキシコ
南米チリ、ペルー
欧州英国

新規加盟申請の動向と今後の拡大

英国に続き、複数の国・地域がCPTPPへの加盟に関心を示しており、協定のさらなる拡大が焦点となっています。

  • 加盟交渉中の国

    • コスタリカ: 2024年11月の第8回CPTPP委員会で加盟交渉を開始することが正式に決定され、加入作業部会が設置されました。日本もコスタリカの加盟実現に向けた協力を表明しています。
  • 加盟申請中の国・地域

    • インドネシア: 2024年9月に正式に加盟を申請しました。加盟が実現すれば、GDPが約16億ドル押し上げられると見込んでいます。
    • 中国・台湾: 2021年9月に相次いで加盟を申請しました。しかし、加盟には国有企業への優遇措置の禁止や、国境を越える自由なデータ流通の確保など、CPTPPが定める高い水準のルールを受け入れる必要があり、中国にとっては課題が多いと指摘されています。台湾の加盟申請については、中国が反発しており、2024年11月の委員会では加入を審査する作業部会の設置が見送られました。
    • その他: エクアドル、ウルグアイ、ウクライナも正式に加盟を申請しています。

加盟には、申請国が高い通商ルールを遵守できるかに加え、全12加盟国すべての同意が必要となります。

第8回CPTPP委員会と協定の進化

2024年11月28日、議長国カナダの主催で第8回CPTPP委員会が開催され、今後の協定運営に関する重要な議論が行われました。

第8回TPP委員会の様子

主な議題と決定事項:

  • 協定の総点検 (General Review): 協定を最新の状況に適応させるため、全30章にわたる詳細な見直し作業が進行中です。特に、電子商取引、環境、サプライチェーン強靭化、経済的威圧、市場歪曲的行為への対処といった、分野横断的・新興の貿易課題について優先的に検討し、協定を更新・強化していく方針が確認されました。
  • 新規加盟手続き: コスタリカの加入作業部会設置が決定されたほか、今後の新規加盟希望エコノミーに対しては、「オークランド原則」に沿って門戸を開放し続ける姿勢が改めて強調されました。
  • 事務局の設置: 増加する業務量に対応するため、常設事務局の設置に向けた議論が開始されました。

これらの動きは、CPTPPが単なる関税撤廃にとどまらず、デジタル経済や経済安全保障といった21世紀の課題に対応する、先進的で高水準なルールを持つ戦略的枠組みへと進化し続けていることを示しています。

CPTPPの戦略的価値と日本の役割

2017年の米国離脱後、日本が主導してまとめ上げたCPTPPは、保護主義や一方的な措置への対抗軸として、ルールに基づく自由貿易体制を維持・拡大する上で不可欠な存在となっています。

経済安全保障の観点からも、CPTPPの重要性は増しています。加盟国は閣僚声明などを通じて「経済的威圧」への懸念を共有しており、サプライチェーンの強靭化を含めた政策協調の場としても機能し始めています。将来的には、科学技術やサイバーといった分野にも連携を広げ、経済を基軸とした同盟としての性格を強める可能性も指摘されています。

日本は、CPTPPのハイレベルなルールを維持・発展させながら、新規加盟国の拡大を通じて自由で公正な経済圏を広げていく上で、引き続き中心的な役割を担うことが期待されています。


要約

2024年のCPTPPは、英国の正式加盟という画期的な出来事を経て、12カ国体制へと移行しました。これにより、協定の地理的範囲は欧州にまで拡大し、その経済的・戦略的重要性は一層高まっています。コスタリカとの加盟交渉が開始され、インドネシアをはじめとする複数の国・地域が加盟を申請するなど、枠組み拡大への機運は継続しています。

同時に、第8回CPTPP委員会では、デジタル貿易や経済安全保障といった新たな課題に対応するため、協定自体の見直しと強化が進められていることが確認されました。CPTPPは、変動する国際情勢の中で、ルールに基づく自由貿易を推進し、加盟国の経済的繁栄と強靭性を確保するための重要なプラットフォームとして、今後も進化を続けていく見通しです。