知的財産×AI:デイリーニュース要約
対象期間:2026年10月3日公開・発表分
💡 昨日(10/3)の注目ニュース
1. 【国家知財政策・税制適格性】日本政府「集中投資期間」方針とイノベーションボックス税制のAI知財監査要件の具体化
日本政府による成長戦略方針(2027年度からの「集中投資期間」およびAI・半導体等の戦略17分野への投資加速)を受け、10月3日までに知財法曹界・税務コンサルティング各社より「自社開発AI知財の適格性管理実務」に関する詳細指針が相次ぎ公表されました。
- 実務上の要諦: 国内の研究開発拠点から生じた特許権やAIプログラム著作権の譲渡・ライセンス所得に30%控除を認めるイノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)において、「開発投資と特定知財権の紐付け」だけでなく、「最高裁DABUS確定判決に準拠した、AI支援開発における自然人の着想(Conception)証跡」の保持が税務・知財の両面で厳格に問われる実務フローが示されました。
- 知財部門の役割変革: 単なる出願コストの管理にとどまらず、社内開発ログ(Human Contribution Log)の監査体制を整備し、自社AI技術が適格知財として法人課税所得控除に貢献しているかを定量立証する「財務・経営連動型知財実務」への移行が急務となっています。
2. 【欧州特許実務・異議申立】欧州特許庁(EPO)「Opposition Matters 2026」:AI関連特許における異議申立・進歩性立証の最新動向
欧州特許庁(EPO)は、約2,000名の知財実務家が参加した年次フォーラム「Opposition Matters 2026」におけるAI関連特許の異議申立(Opposition)審理の実務ポイントを10月3日までに総括しました。
- 審理の核心: EPOの審査基準(COMVIKアプローチ)に基づき、AIモデルを用いたクレームにおいて「技術的課題の解決に直接寄与していない数理モデル」が進歩性欠如で無効化される事例が整理されました。先行技術との差異を主張する際、AIの出力結果が物理的な計測系や機器制御にどう具体的作用を及ぼしているかを明細書記載から立証できるかが勝敗の分水嶺となっています。
3. 【特許侵害訴訟・AI半導体】米連邦地裁、次世代AIチップのパッケージング・熱伝導特許を巡る侵害訴訟で審理開始
米デラウェア連邦地方裁判所において、最先端AIアクセラレータおよびデータセンター向けGPUに用いられる3D積層・高熱伝導パッケージング技術に関する特許侵害訴訟の審理手続きが本格化しました。
- 知財戦略への示唆: 先週のAppleに対する触覚特許57億ドル評決やVia Licensingのデータセンター特許プール運用開始と軌を一にし、AIモデルそのものの勝負から、「巨大AIコンピュートを物理的に駆動させる放熱・配線・半導体パッケージング技術(ハードウェア特許網)」を巡る権利行使・クリアランス(FTO)へと係争の主戦場がシフトしています。
4. 【商標・生成AI模倣】欧州知的財産庁(EUIPO)、AI生成による「有名ブランドのスタイル模倣」に関する商標侵害審査指針の検討へ
欧州知的財産庁(EUIPO)は、生成AIプロンプト等を用いて特定ブランドの象徴的意匠やトレードドレス(外観)を意図的に模倣した商品・デジタルアセットに対し、出所混同および不当な便乗(Free-riding)を適用して商標登録を拒絶・無効化する運用枠組みの検討に着手したことが報じられました。
- 実務へのインパクト: 前日確認された東京地裁による「AI音声クローンに対する声のパブリシティ権保護判断」に続き、著作権侵害の立証が難しいAI生成物に対し、立体商標やトレードドレス、パブリシティ権を多層的に行使してブランドを守る国際的防衛網が制度化されつつあります。